文字数: 73,568

Viva La Vida/美しき生命



IV

Dec. 7,1978

寒い 出動無し
パトロール中、交通事故に遭遇、救助支援を行う

 私とバーナビー君は

 反省すべきことは全てしたと思っていたが、それは間違いだったかもしれない。彼女が私に立ち直る力をくれたことが嬉しくて、私は考えるべきことを、気づくべきことを怠っていたのだろうか?おかしなことを書くかもしれない。混乱している。バーナビー君、すまない。
 ジョンの散歩をしている途中、偶然ワイルド君を見かけた。ひどく困った様子で、私に全く気づいていなかったので声をかけた。バーナビー君に元気が無い、今度会ったら元気づけてやってくれ、友達だろ、と彼は言った。その時すぐに彼女のことを思い出した。私も彼女のように、誰かを、大事な友人を助けたかった。
 何度か行ったきりだったけれど、バーナビー君の住むコンドミニウムは目立つ。記憶だけで部屋の前まで辿り着いてしまった。事前に連絡していれば状況は変わっただろうか?二度ブザーを慣らしたが、なんの反応もなく、帰ろうと思っていたらドアが開いた。バーナビー君はひどく苦しそうな顔だった。けれど、確かに、私の目を見て少しだけ安心したような顔をしたと思ったんだ。勘違いだろうか?あの時に戻って確かめたい。今日はそんなことばかり考えている。
 彼は私にまず、どうしてここへ来たのかと尋ねた。私はそれに君が心配で、と答えたと思う。正直に書けば、細かいことはあまり覚えていない。とにかく驚いて、混乱している。バーナビー君は今まで見たこともないくらい取り乱していた。何かひとつ声をかける度、状態は悪くなっていくようだった。よく言われる「天然」が彼を傷つけたのだろうか?
 最後に、彼はこんな紙切れ一枚にそんな義理や義務はありませんと言った。そして僕と貴方にはそんな紙切れ一枚しかありませんと言った。小さなテーブルに置かれていたのはあの契約書だ。彼はそれを破って捨てた。止めることもできなかった。それは、彼が望んでやったことだから。
 私とバーナビー君は       どうやら、友人ではなくなってしまったらしい。

 不思議だ。彼が契約書を破った時に、私はあの紙の、その上にある名前の、本当の価値を知った気がする。もし本当に私と彼の間にその一枚の紙しか無いのなら、それは尚更莫大な価値を持っていたはずだ。そうでなければこんな気持ちになるはずがない。バーナビー君、君は

 今日は疲れている。明日のために、パトロールのことについては後で加えることにする。

 情けないが、このページを読み返すことができない。死人が出なかったことと、事件資料の請求番号だけ書いておく。FJ04882579

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