十星

一番星に釣られるひと(十星)

「おっ」  釣糸がぴんと引いた。失意の長靴を釣り上げてから数十分。今度こそ魚がかかったか。十代は喜色を隠さず釣竿を握り締めた。今日も今日とてデュエルアカデミアの岸壁で釣りに興じているが、今日の十代は一

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流れ星を釣るひと (十星)

「遊星。遊星……おい、聞こえてないのか?」  まず寒い、重たい。そう思った。体の側面に冬空に放り出された鉛でも埋め込まれた気分だ。重い瞼をなんとか押し上げ、声の主の輪郭を捉えようとする。明るい日差しか

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眼下の惑星 (十星・パラレル)

 同じ階の住人というだけで、特に何かがあったわけではなかった。それでも顔を覚えていたのは、店の常連客であるジャックの同居人の一人だからだ。シャンプーの時に聞く愚痴に交じった名前は遊星。無愛想で、無口で

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