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弟妹同盟。(モクバ+静香+ほんのり表海)



「うーっし、じゃあ弟たちよ。決闘はそこまでにして、行くぞ」
「えっ、どこにだよ」
「ボクも弟なんだ……」

 ひとまずと始めた決闘が面白くて時間も忘れて没頭していた。こっそり特訓していた成果か、随分強くなったと褒められて悪い気はしない。だがキリの良いところで城之内がカードをまとめて立ち上がってしまった。モクバとしてはまだ決闘し足りない感じだ。遊戯も似たような気持ちらしく、少しだけ不本意そうな顔をしている。

「はいはい、せっかくの休みなんだからよーもっと色々やるぞ!」
「さっきまでソワソワしてたのに……じゃあどうする?テレビゲームでもやる?」
「あのなあ。こんなに天気良いんだから外に出ないとだめだろ!それに……」

 城之内は言葉を切って、モクバを見つめてにんまり笑った。嫌な予感がして身じろぐ。

「弟ができたら、絶対やってみてーことがあったんだよな!」

 何をするかは結局聞き出せず、外に移動することになった。取りとめのないことを話しながら城之内の後に続くが、正直モクバの内心は不安に満ちていた。

 今から何するつもりなんだ?まさかケンカとかじゃねーよな。でもこいつならやりかねないし……。今頃静香はどうしているだろう。――兄サマ、怒ってないといいな。

「着いたぞ!」

 そこは、何の変哲も無い川原だ。散歩やスポーツのためか岸が平地になっている。まさかここで男の殴り合いとか言い出さないよな――と危惧していたところで、ずっと持ち歩いていたビニール袋を城之内が漁り出した。

「これだ!」
「グローブ……」
「と、ボール……?」
「そうだよ!キャッチボールだよキャッチボール!」

 高校生のくせに新米パパみたいな思考の奴である。キャッチボールなんて生まれてこの方やった記憶が無い。運動神経の繋がってなさそうな遊戯も、えーと不平を上げている。

「うるせー!やると言ったらやる!兄貴の言葉は絶対だ!」
「ボク一人っ子で良かった!」
「オレも兄サマが兄サマで良かった!」
「お前らノされてーのか!」

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