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弟妹同盟。(モクバ+静香+ほんのり表海)



そのに

 ふとした瞬間にデスクの書類を床に落としてしまった。ソファの下へと潜ってしまったので、煩わしく思いつつも立ち上がって拾いに向かう。ソファの下に手を伸ばして拾うと一緒に何かが出てきた。それは真新しいカードだ。海馬はあまりこの部屋でカードを取り出さないし、今手中にあるカードを紛失した覚えも無い。恐らくモクバだろうと見当をつけ、休憩がてら届けに行くことにした。歩き慣れて距離も感じない廊下を渡り、モクバの部屋の前までやってくる。二度ノックして返事も待たずにドアを開けた。

「モクバ、入る――」
「あっ、丁度良かった!」

 しかしそこに居たのは見慣れた弟の姿ではなかった。広い部屋の真ん中にちょこんと正座しているのは少女である。見覚えはある。確か城之内の妹で――静香とか言っただろうか。こちらの険しい視線にも動じることなく、静香は笑顔のまま頭を下げた。

「今日一日、お世話になります!」
「……は?」

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