『瀬人、随分ひどい顔で決闘見てたよね』
結局、何故遊戯の決闘を受けなかったのか、それに答えを出す気はない。
ただ、最初から最後まで子供の駄々だったのだとは思う。自分では勝てるかどうか自信の持てなかった相手に別の人間が勝利してしまったのを目にした感情だとか、急に宿敵を奪われたような感情だとか、今まで見てきた人間とは確かに違うものを見てしまった感情だとか、そういうものが混ざり合って、海馬を乗り気にさせなかったのだろう。整理してみれば馬鹿みたいな話だ。ほとほと幼稚である。
『カウンターシステムの名称……なんであんな名前にしたんだい。あれは君にこそ必要なものだろ?』
「やかましい。余計な世話だ」
『遊戯みたいな名前だね』
自分が未熟な部分を残していることは、不本意ながら『遊戯』に出会って突きつけられた。そしてそれも、『遊戯』のせいで克服する破目に陥ったはずなのだ。そして挙句にその当人は勝ち逃げし、「遊戯」との間にややこしい問題を残していった。もう駄々も言っていられないことは自分が一番分かっている。
「やかましいと言っただろうが!消えるならさっさと消えろ亡霊!」
『……いいけど。瀬人はどう思う?父上、待ってくれてるかな』