フロム・トーキョー

遊戯王:表海中心
2007/08/09 – 2011/12/31

恋文特講

「うーん……」  真剣な顔で腕を組み、低くうなった。可愛らしい文房具を片手にレジへ向かおうとしたOLっぽいお姉さんが、不審げな顔ですれ違っていく。しかし今日はそれに恥じ入っている場合ではないのだ。 『

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特定一般論

 今日の海馬はいつも通りだ。 遊戯が尋ねていくと、有無を言わさず決闘盤を押し付けられた。遊戯も当然そのつもりで遊びに来ているから、昼過ぎまでずっと接戦を繰り広げていたのだ。 「兄サマー!久々にチェスや

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三本のマッチ

 街灯が穏やかな色の光の輪を作って、後から後から降り注ぐ白い雪を照らしている。見える世界のほとんどは白い。はあ、ついたため息の色まで白だ。分厚いコートに手を突っ込んで、マフラーに埋めた赤い鼻をすする。

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非修辞技巧

いつも遊戯は、言葉にできない、意味の分からないものを海馬に残していく。  退屈で緩慢な時間をほんの小さな机の上で潰しながら、海馬は経壇から目をそらした。「学校」という存在が海馬にいくつかの付加価値をも

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相対性理論

 夏=暑い  つーっとあごを伝う汗を緩慢な動作で拭った。つい漏れたため息までもが熱っぽい。座る安っぽくてボロなベンチもどこか熱を持っているようだ。目に映る全てのものが暑さにやられて気だるげだった。高い

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群青

 思えば確かに、どこか様子はおかしかったかもしれなかった。  世界への夢に向けてまずアメリカへ旅立ったにもかかわらず、何故この学校に籍を残していたのか。そう問われれば、『気まぐれ』と答えるしかない。そ

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