「うつっちゃった、かな」
階段の裏、遊戯の手のひらの下で、早い鼓動が確かに脈打っている。多分遊戯と同じくらいの速さで。その事実が嬉しくて、頭の芯がぼうっと溶けてしまうようだ。
「うつる……?」
「うん……、でも海馬くんにうつされちゃったのかも……」
半身を起こしたまま微動だにせず、海馬は遊戯だけを見つめている。いつもは未来だとか、夢だとか、そういう大きいものを余さず捕らえている目が。
それをもっと近くで見たくて顔を近づけた。
それをもっと感じたくて触れるほど近づいた。
「……っ!」
「……どっちか、分かんないね」
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