※ 2011-05-04 / SCC20 / A5コピー / 40P / 三遊+α
※ Pixiv掲載: https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=2935548
Dホイールから投げ出され何度か地面を転がった。脇腹のあたりに衝撃を感じる。怒りも悔しさも焦りも無かった。圧倒的なスピードで狭くなる意識の中にそんなものを置いておく余裕は無い。そこに残っているのは、灼けつくような痛みと、ちっぽけな遊星の単純な感情だけだ。
「苦しめ!おびえろ!恐怖に支配され戦慄の業火に身を焼かれる生き地獄!かつてこのオレが味わった辛酸を、貴様も味わうがいい!」
耳鳴りがひどいのに鬼柳の声だけははっきりと聞こえていた。それが遠くなっていくことに赤子のように安堵して、脇腹から脳天に突き刺さるあまりの痛みから逃れるために意識を手放した。
「……次に会うときまで恐怖に怯え、生き恥を晒すがいい」
恐怖と絶望。それが沈む海の名前だ。