じりじりと照りつける太陽が、ざんざんと緩やかに砂を打つ波に反射して、ぎらぎらと騒々しく輝いている。熱の立ち昇る白い砂浜の上ではビビッドカラーの服や水着が陽気に跳んだり跳ねたり鮮やかだ。笑い声や歓声のベースにイイ感じのディープハウスが敷かれている。どこかのカフェだかバーだかでDJがターンテーブルを回しているのかもしれない。だとするといいセンスをしている。
「あ……っぢぃ……」
夏である。どこからどう見ても非の打ち所の無い夏だ。寝不足でしょぼしょぼの疲れ目とずっしり重い頭に熱と光が矢のように刺さってくる。目を糸のように細めてううう、と唸っているとバシリと肩を叩かれた。
「オイオイオイ、大丈夫かよ!?」
「なんやあ、あないにあったノリ気はどこいったんやあ?」
「ほら、水だよ。熱中症には気を付けないと」
「ありがとうございます……いや、連れてきてもらえて本当にありがたいです……」
「……死にかけじゃねぇか」
「オー……ツンツン髪がシナシナワカメに~!? 水をあげたら増えちゃうの~!?」
参加メンバーたちのことを思い描くとワクワクが止まらず、寝る間も惜しんで打ち込みまくったトラックたちが功を奏し、選定会は大盛り上がりとなった。当然、そのグルーブ感で解散とはならず、テーマ決めまで雪崩れ込み、なんとなく海だ、祭りだと続き──最後には依織の「こんなすし詰めで膝突き合わせて海も祭りもあるかいな」の一言でバイブスは頂点に達した。レコードに無い感動がライブにあるように、本物の夏は海にあるはず。唯一嫌そうな凌牙を紗月が引きずりつつ善の運転するバンで浜辺に滑り込んだ──までは良かったのだ。時刻は昼2時過ぎ、午前中に集められた光と熱が足元の砂浜に濃縮されている。
「いや……いや! 来てます! 夏、熱さ、光、波……リリック来ます! 絶対いいのが!」
「さっすがアレンさん! その意気その意気!」
「相変わらず愉快な奴だよなあ」
「ありがとうございます!!」
「褒めて……るか、一応。そーいうとこが面白ぇ曲に繋がってんだもんな」
「あっ、えっ、い、今……えっ、わっ、え!?」
「ちょっ、アレンさん、武雷管ガチ勢出てますってぇ! そこもさすがかも!?」
海の家の作る狭い影にしゃがみ込むアレンを囲み、フリースタイルよりも目まぐるしく会話が飛び交う。砂浜の熱気に真っ先にかまされてしまったが、その賑やかさにはやっぱり気分が上がる。しかし、盛り上がる輪を下から見上げていニヤついているところを依織に見つけられてしまった。にやりと口角が上がってポンと頭に手が乗る。
「もう充分休んだやろ? せっかくの海、ただ来ただけ言うんもつまらんもんや! フロアだけじゃなくてビーチも湧かさんとなぁ」
「えっ、ライブですか!? あ、でもまだリリックも……」
「ちゃうちゃう、そらこっからやろ? えーリリックを作るのはえー経験ちゅうことや!」
「若?」
「アニキ?」
喜びのあまり急性夏バテの気だるさを放り出して立ち上がってしまったが、依織は呆れたように首を横に振った。隣に立つ善や紗月すら何が言いたいのか分からないらしく、その場にいる全員の疑問を代弁してくれている。満面に陽気な笑みを浮かべた依織は、手のひらを砂浜へと広げて見せた。
「見い、嬢ちゃんたちで溢れとるやろ? 夏言うたら、アバンチュールを添えんと……なあ? 旦那んとこの」
「若……」
「アバンチュ~ル~、猫もチュ~する~チュルチュ〜ル〜」
「んーそれ、チュール違いかも!?」
「アバ……? どっかで見たな……夏? 猫? んだそれ……凌牙、分かるか?」
呆れ切った顔の凌牙が何も答えないので、一瞬その場に沈黙が下りる。そしてすぐに依織が堰を切ったように笑い出してそれを破った。気まずそうな顔の斗真がキョロキョロと皆の顔を見回している。
「ひょっとして、ナンパ……ってことっすかあ?」
「とにかくやなあ、ちーっさい画面見てばっかじゃつまらんリリックしか浮かばんわ。なんでも試してみんと。せやろ? 伝説さん」
「あ? それ、俺のこと言ってんの? はは……んーまあ、そういうこともあるんじゃねーの?」
「やります」
「へ!? アレンさん?」
「俺、夜叉さんが言うなら! やってみます!!」
「元言うたんは俺なんやけどな?」
夏である。暑さのせいかなんなのか。やらなければならないことが遠く波に攫われ、どうでもいいことが近く砂浜に打ちあがり、馬鹿みたいなことを本気でやってしまうのも大体夏なのだ。
そんなこんなで、アレンは翠石組から借りたサンダルを踏み出した。「マジっすかアレンさん!?」「マジかよ、俺らもか!?」「バカか?」などというコーラスを背負いつつ、大マジ大バカで熱砂に足を沈ませる。足の裏に砂がざらざら流れ込み、上げた足から流れ出ていく。智生がやれというなら、それがドープなリリックに繋がるというなら、やってやろうではないか。ちなみに智生はナンパをやれともそれがドープなリリックに繋がるとも一言も言っていない。なんなら依織もそこまでは言っていない。
しかしである。威勢よく足を踏み出したはいいが、生まれてこの方ナンパの経験など無いのだ。皆無だ。やってみようという気持ちになったことすらない。なるほど、新しい体験はいいリリックになりそうだ。とりあえずまずは人に声をかけてみよう。ざくざく砂に足を沈め、じりじり陽に焼かれる首を回しつつ辺りを見渡してみる。頭のてっぺんに熱が集まっていてその内に火が着きそうだ。
べったりと肌に貼りつくような潮風の中、様々な人びとが楽しそうに笑みを交わしていた。波打ち際で子どもたちが駆け回る家族連れ、砂浜で人を埋めてふざけている学生たち、ビーチバレーで盛り上がる男女混ざったグループに、犬を連れて散歩する老夫婦。そこにアレンが滑り込む隙間があるのかどうか、ぱっと見ではよく分からない。辺りは賑やかなのに、ふと一人だったことを思い出した。
あの時、人生で初めて見つけた意味を燃やし尽くされて、誰かと居ることに堪えられなくなって。もう一生、このまま一人なのかもしれないと思っていた。死んだように生きるには、隣の誰かは必要ないから。でも今は違う。死んでも惜しくないくらいの毎日を生きていて、その隣は絶対代えられない。
とん、と背中に何かが当たった。いつの間にか足を止めていたことに気づいてハッとする。後ろを振り返ると背後にいた女性もこちらを振り返っていた。ごめんなさい、と頭が下がったので、アレンも反射で謝罪を返す。女性はもう一人の友人らしき女性との二人組で、話しながら歩いている内に妙なところで立ち止まったアレンにぶつかってしまったようだった。そこで更にハッとする。そういえばナンパしなきゃいけないんだった!
「あの!」
そのまま立ち去りそうな雰囲気の女性たちを引き留めた。ハッキリしたメイクと大ぶりのピアスやリングがクラブで馴染みの顔の女性たちと似通っていて話しかけやすい、気がする。二人とも嫌そうな素振りはなく、アレンを覗うような笑みだ。もしかすると魂胆がバレているのかもしれない。駆け引きのようなものが必要なのだろうか? クラブではみんなどんな風にしてるっけ……何を言えばうまく次に繋がるのかさっぱり分からない。顔をしかめて後ろ髪を掻いた。ダメだ。何も思いつかない。
「……今、ナンパしてて。良かったら、ナンパされてくれませんか?」
二つ浮かんでいた笑みが中途半端なまま固まってしまった。やっぱりさすがにダメだよな、これじゃ……弱り切って眉を下げる。しかし、それを見た女性たちは急にコロコロと笑い始めた。手まで叩いている。絶対遊んでると思ったのに、慣れてないの? かわいい! やだ、そういう設定でしょ? いつもこの辺で遊んでんの、口々に好き勝手言われて少し怯む。これは成功なのか失敗なのか。いやあ……と口の中で言葉をもごもご弄んでいる、その隙間にするりと滑り込んできたのは──数千、数万、もしかしたら数億回くらい聞いている甘い声だった。
「いいんですか? せっかくの休日を、こんな……つまらなそうな人と潰して」
女性たちがアレンの頭の向こうを見上げて息を呑んでいる。先ほどまでのゆるい表情がたちまち消え、驚きで目を見開いたまま、口元がたちまち笑顔になる。スマホを握り締めて前のめりにアレンを横切っていく。
「は、ハジュン!?」
「ウソ、本物!?」
「ボクと同じような人間がもう一人この世界に居るなら、偽物かもしれませんね?」
居ない居ない! と悲鳴のような歓声がユニゾンする。確かにこの世に二つとないだろう。耳に蜂蜜を流し込んでくるようなやたらに甘ったるいこの声は。恐る恐る振り返れば、夏の太陽に匹敵する輝きを振り撒く笑顔が女性たちに向かっている。被る猫がいつもより十匹くらい多くてちょっと怖いくらいだ。どうしてここに。呆然とするアレンを存在ごと無視して、夏準はせっせと女性たちのリクエストに答え写真や動画に写り込んでいる。アレンからしたら心霊写真より恐ろしいが、女性たちは満足そうだし、夏準の存在に気づいた周囲もざわめき始めている。
「ハジュンくん、あの、いつも応援してます……!」
「わあ、ありがとうございます。こんなところでもファンと出会えるなんて、ボクは運がいいみたいですね?」
「あ、あの……」
「アナタにとっても……一生忘れられない思い出になれたら嬉しいんですけど……どう、ですか?」
「は、はいぃ……っ!」
勇気を振り絞って声をかけてきた別の女性にも至近距離でファンサービスを振り撒き失神寸前まで追い込むと、当然いつものように人の輪ができてくる。アレンもいつものクセでそっと目立たない位置に移動してしまった。
「って、なんでだ!?」
「何がですか?」
「うわ!?」
何故アレンがスペースを譲って夏準を中心にした女性の輪を見守らなければならないのか。さすがにこれがナンパ失敗であることくらいはアレンにも痛いほど分かる。とにかく少しでも人だかりから離れようとしたすぐ背後に声がかかって肩が思いっきり跳ねた。ぎょっと後ろを振り返ると、夏の熱さなど微塵も感じていなさそうな涼しい顔が待ち構えていた。あれだけ被っていた猫は一体どこに逃げたのか。一匹も残っていない。
「これ以上は迷惑になりそうですから、移動しましょう」
「ああ、うん。うん……?」
確かにそうだなと思って頷いたが、そもそも夏準をめがけて人が集まってきたのだし、それを膨らませたのも爆発させたのもそこから謎の手口でうまい感じに収めたのも夏準だ。何故アレンまで移動する必要があるのか。少しモヤっとしつつ、結局は渋々素直に従った。絶対に聞いておかなければならないことがあるからだ。
「なあ」
「何か?」
「お前……なんで居るんだよ」
一歩先を行く夏準の横に並び、不機嫌に覗き込んだが、ニッコリと音がしそうな笑みが傾けられただけだった。強い陽射しは細いピアスにも容赦がない。ふらふら揺れる度に光を弾けさせている。目がちらつくのと、夏準が言葉にしない「いつものやつ」のとでただでさえ悪い目つきが益々悪くなる気がする。フ、と鼻で笑われて思わず唸ってしまう。アレンをからかうためなら北極でもアマゾンでも深海でも火星でもやって来そうな奴だ。そんなとこ行く時あるか分からないけど。行けたらとんでもないリリック書けそうだな。
「それで? こんなところで遊んでいて曲ができるんですか?」
「それは……夏らしいことしたら、何か……」
「ああ、アバンチュール? でしたか」
思わず足を止めた。自分でも今どんな顔をしているか分からないが、多分妙な表情で止まっているだろう。長い脚で大きな一歩を踏み出し、こちらを振り返る表情は同じ砂浜の上に居るとは到底信じられないくらいに涼しげだ。汗ひとつ掻いていないように見える。まさか幻影じゃないよな、とうっかり疑いそうだ。なんとなく自分のメタルを触ってしまう。これも熱をうけてぬるい。
知るはずもないことをどうして知っているのだろうか。まさか最初から付いてきたわけもないだろう。もしそうなら最初からニヤニヤ出てきていたはずだ。夏準は腹黒陰険ドSだが、回りくどいことはしない。そういうところは三人の数少ない共通点かもしれない。
「とりあえず、ついてきてください」
ぐるぐる考え込むアレンを愉快そうにまた鼻で笑って、夏準はまたさくさくと歩き出した。ずぼずぼ後に続くアレンとの差は一体なんなのか。そろそろ本格的に茹で上がりそうな寝不足の頭に突然影が下りた。塗装が剥げたサーフボードが何枚も立てかけられていて、その影に入ったのだ。ほー、情けない息を吐くアレンに呆れた様子を見せつつ、夏準は「ほら」と長い人差し指で波打ち際を示した。
まず目に入ったのはてかてかと眩しい光の反射だ。輝く小麦色の肌、ポーズを取るたびに動く筋肉。そしてそんな善の見事な肉体美の周りで逞しいギャラリーたちが歓声を上げている。そのすぐ隣では紗月がビーチボールを思いっきり振りかぶり、リュウが水鉄砲を構え、挟み撃ちになった凌牙がそれを無表情で難なく躱している。ものすごく楽しそうだし、ものすごく夏っぽい。
「帰ってこんなあ。ちょーっとからかいすぎたかもしれへんなあ……」
波音を調子よく泳いでいく馴染みある声が耳の端に引っかかる。サーフボードラックから少し先にあるパラソルの下で、のんびり扇子を扇いでビーチチェアに座る依織だ。その背もたれによりかかる斗真の手にはトロピカルな色をしたカップが握られていて、ビーチマットの上でくつろぐ智生のすぐ傍にも同じものが置かれている。
「特にアレンさん、真面目だから……しょーちんにちょっとだけ似てて心配なんだよなあ」
「そういうお前はいいのか? アバンチュール」
「やめてくださいよぉ! おれ、一応アイドルっすよ? ……でもやっぱ、メロいリリックをステラに聞かせるんだったらやってみたほうがいいんすかねえ……?」
「さあ? どうなんだろうな。俺、ナンパされたことしかねぇからなあ」
ドサ、と鈍い音がして何かと思えば、それは自分の膝が砂の上に崩れた音だった。日陰にほんの少し熱が慰められた砂が、汗で湿った膝と手のひらにべったりくっついてくる。しかし最早力が入らなかった。不可抗力だ。
「さすが、夜叉さん……っ!!」
「そこですか?」
もちろんそれだけではないが、他に一体何が言えるというのか。意気込んで浜辺に出たのに、一人だけまるで夏を全うできていない気がする。夏に浮かされて自分らしさを易々捨てたのが良くなかったかもしれない。あれは、HIPHOPの芯を問う夜叉からの試練だったのか──自分の未熟さに砂を握りしめたが、無論のこと智生にそんなつもりは一切無い。
どうやらアレンにとっての夏はナンパじゃなかった。ただからかわれていただけだったらしい。どのみち、あのままうまくいった気はしないので、結果的には夏準が現れて良かったのかもしれない。時々は腹も立つし、まあまあついていけなくて呆れもするが、それでもやっぱり夏準はアレンにとって欠かせないタイミングでいつもそこにある。す、と止めていた苦しい息を吸う時のように。
「でも俺も、お前にナンパされたみたいなもんだよな」
ナンパするのはうまくなくても、夏準に拾われる運なら持っている。はは、自分に対してだかなんだか、とにかく照れと呆れが混じった笑みが漏れた。腰を浮かせて膝と手の砂を払っていると、ふと香りが鼻に触れる。夏準の香水の匂いだ。顔を上げれば、思っていたより近くに夏準の顔があった。アレンと同じようにしゃがみ込んでいる。
「アレン」
「な、なんだよ」
囁くような低い声で名前を呼ばれてドキリとする。何か気に障ったのかと思ったが、少し左側に傾く夏準の顔にはわざとらしい笑みも冷たい視線もない。ただまっすぐ見つめられていた。戸惑うアレンの視線を引き寄せたまま、夏準はゆっくりと自分のカラーグラスを引き抜いた。この距離になると、さすがの夏準も汗ばんでいることが分かった。いつもより少しだけ香水が甘く香っている。そんなことをぼんやり考える頭に遠慮なく指が伸びてきた。丸めた目をカラーグラスが覆い、世界の色まで甘くしてしまった。
ふ、と夏準の息が漏れる。小馬鹿にするために鼻にかけた笑みとは違う、力の抜けるような吐息。満足そうに細くなる目に、何故かアレンの呼吸は逆に詰まってしまった。ピンクがかった世界は酸素が薄い。
「どうぞ、いい経験からいいリリックを書いてくださいね?」
何も返せないアレンを待つ気も更々無い様子で、夏準はさっさと膝を伸ばして立ち上がってしまった。しゃがみ込んで見上げるとたちまち顔が遠くなってしまう。
「まあ……애써봐。では、ボクはアナタと違って、待たせている相手が居ますので。夏を楽しんでくださいね」
「は?」
思わず声が出たが、夏準は振り返りもせずサクサクと砂浜へ出て行ってしまった。その背が人混みに埋もれて見えなくなっても、すぐには動き出せない。
「あいつ……なんなんだよ」
思わず漏れたのは、この世界最大の謎に違いない。
世界規模の謎──つまり、アレンごときが考えても答えなんて出ないということだ。よし、勢いをつけて砂を蹴ってサーフボードラックの陰から飛び出した。「アレンさん!? おれ、日焼けしたくないんですけどー!?」とかなんとか、イイ感じのシャウトを響かせる斗真を引っ張って凌牙に加勢することに決める。三対二、形勢逆転だ。斗真の悲鳴はあっという間に楽しそうな笑い声になって、アレンの笑い声と重なる。その内息継ぎすら難しくなって、これだ! いいリリックになりそうだ! などと気持ちを弾ませたのだった。
「アレンはどうしていつも『ああ』なんでしょうか……」
「夏準が『そう』だからじゃないの?」
間髪入れずに返ってきた言葉にニッコリ笑みを返せば、パレオを着こなすアンが「あ、ヤバ」と取り繕うどころか空けた穴を大きくした。
「ってか、ただ遊んでるだけじゃん! 混ざってやる!」
逃げるようにビーチチェアから飛び出したアンの後を追い北斎と玲央が合流している。その内四季やVISTYのメンバーもやってくるかもしれない。そうなれば自然と一団になるだろうから、細かい経過を心配とともに知らせてくれた斗真には秘蔵の日焼けケアを教えてやるつもりだ。依織には面白そうなことを知らせてくれたことなら素直に感謝できるが、多少はクレームを付けたって許されるだろうとも思う。
夏準には春も夏も秋も冬もない。いつも、変わらずそこに、空気のように漂う感情があるのだから。